打撃と脳
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打撃に重要な予測① ~ボール軌道の予測~

前回、「野球の打撃は予測が大事」という話をしました。

では、上手い打者と普通の打者では、 予測の何が違うのでしょうか?

答えは2つあります。

1. 予測が正確

上級打者ほど、 「どんな球種が、いつ、どこに来るか」の予測が正確です。

そして、予測が正確な打者ほど、 シーズン成績も良いことが研究で分かっています。

これは当然ですよね。

2. 予測が早い(これが重要!)

実は、もっと大きな違いがあります。

上級者は、ボールが見える前から予測しているんです。

初級・中級者: → ボールが見えてから予測を始める

上級者: → ボールが見える前から、すでに予測している

この違いは、打撃に大きな影響を与えます。

では、なぜボールが見える前に予測できるのでしょうか?

上級者は、主に2つの情報を使っています。

① 場面を読む力

ゲーム状況やカウントから、 「次はこの球が来やすい」と絞り込めます。

例:

  • 3ボールからはストレート率が高い
  • この投手は2ストライク後にインハイを投げやすい
  • タッチアップで点を許せない場面では低めが多い

② 動きを見抜く力

投手のモーションから、 球種やコースを見分けられます。

例:

  • カーブのときは肘が高くなる
  • 変化球のときは腕の振りが少し遅い
  • インコースとアウトコースでリリース位置が違う
この2つの力によって、 ボールを見る前から「絞り込み」ができるのです。

つまり、予測力の差は、 「場面を読む力」と「動きを見抜く力」の差です。

では、この2つの力は、 どうすれば身につくのでしょうか?

実は、トレーニングで鍛えられます。

研究の世界では「知覚トレーニング」という方法があり、 予測力を向上させる効果が確認されています。

次回は、この知覚トレーニングについて、 具体的な方法を詳しく解説します。