前回、上級打者は
「場面を読む力」と「動きを見抜く力」によって、
早期に予測していることを紹介しました。
今回は、この予測力を鍛える
「知覚トレーニング」について解説します。
知覚トレーニングって何?
知覚トレーニングとは、
「投手の動きから球種やコースを予測する力」を鍛える練習です。
例えば:
- カーブを投げるときは、手首の角度がいつもと違う
- アウトコースのときは、足の踏み込み位置が少し外側になる
こういった
小さな違いを見抜く力を伸ばします。
この力が上がると、
ボールを見る前に「球種を絞れる」ので、
思い切った強いスイングができます。
実際、予測力が高い選手ほど、
四球率(選球眼)も長打率も高く、
結果的にOPSが高くなることが分かっています。
どうやってやるの?
知覚トレーニングには、大きく2つの方法があります。
方法1:専用のトレーニングを受ける
研究で使われている方法は、次のようなものです:
1. 投手目線または捕手目線の投球映像を用意する
2. 途中(リリース直後など)で映像を黒く隠す

3. 隠された後、「どんな球か」を予測して答える
4. 正解を見せて、フィードバックする
5. これを繰り返す
ただし、これを個人で準備するのは難しいです。
このようなトレーニングを提供しているサービスや施設があれば、
そこを活用するのが現実的です。
例えば、怪物ベースボールでは、
こうしたトレーニングコンテンツを提供しており、
予測力が高まることが確認されています。
方法2:自分でできること
専用のトレーニングを受けられなくても、
自分でできることがあります。
① 動画でピッチャーのモーションを観察する
- YouTubeなどでプロの投球動画を見る
- 球種ごとに、腕の角度、肘の高さ、リリース位置などを観察する
- 「この動きのときはカーブ」といったパターンを見つける
② 対戦相手のピッチャーを研究する
- 試合前に相手投手の映像を見る
- 球種ごとの動きの違いを探す
- カウント別の配球傾向を確認する
③ 投球動作を真似してみる
近年の研究で、投手の動きを真似することが
予測力向上に効果的だと分かっています。
- 対戦投手のモーションをマネする
- いろいろな球種の投球フォームを経験してみる
これは、脳の「行為観察ネットワーク」という仕組みによるもので、
経験した動きは視覚的に識別しやすくなるからです。
クリケットの研究では、
対戦投手のモノマネが打撃成績を向上させたという報告もあります。
まとめ:明日からできること
1. 相手投手の映像を見て、動きの違いを探す
2. 投球フォームを真似してみる
3. 可能なら、専門的なトレーニングサービスを活用する
予測力は「鍛えられる」ものです。
知覚トレーニングは、
中学生からMLB選手まで、
幅広いレベルの選手に効果があることが研究で示されています。
また、近年ではVR技術を用いたトレーニングも開発されており、
より実戦に近い形で予測力を鍛えることが可能になってきています。